私が集めたオーラル・ヒストリーの前提にあったのは、ピアカウンセリング講座での出会いだった。私たちがこらーるたいとうで実践しているピアカウンセリングは「わかちあい」という言葉が一番相応しい素朴な方法である。私も学んだ身体障害者のピアカウンセリング講座に参加してきた「こらーるたいとう」の後輩が「加藤さんが教えてくれた方法のほうがずっと易しいね」という。「ピア」に重要な意義があり、「カウンセリング」のほうは何か治療的な感じが強い。けれども「カウンセリング」の対象者であった立場から「カウンセリングする」立場への転換は一部の仲間には憧れであるらしい。そうした人々の姿を見て、私はなおさら「カウンセリング」という言葉はセルフヘルプ・グループには適切ではないという認識を不動のものにした。キャッチボールのようにみんながピアカウンセラーであり、みんながクライエントであるというのが私のピアカウンセリング観である。あるべきピアカウンセリングなどというものはないから、私たちの方法を好いてくれる人々もあり、私たちを講師に呼んでくれたのである。私はその人々のおかげで、精神障害とか人間のもつ意味を思索する機会を、たぶん一般の人々より多くもつことができたといえるだろう。
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